梅雨(ばいう)

今年の本州の梅雨入りは遅かったですね。

遅い分短期間に集中して降るそうなので、大きな災害は避けたいものです。

以下は梅雨についての説明記事です。

 

〈つゆ〉ともいう。太陰太陽暦では梅雨の時期が5月にあたるので,五月雨(さみだれ)ともいった。梅雨は東アジアだけにみられる雨季で,6月上旬より7月上旬にかけて日本の南岸から中国の長江流域にかけて前線(梅雨前線)が停滞して長雨を降らせる現象である。梅雨は南寄りの季節風が直接あたる九州,四国,近畿,東海地方で顕著であり,この期間の降水量は年降水量のほぼ1/3(平年値は那覇で520mm,福岡で507mm,東京で260mm,仙台で265mm)に達する。北日本では降水量は少なく,北海道には梅雨はない。

梅雨期は四つ,すなわち(1)5月中~下旬,(2)6月上~下旬,(3)6月末~7月上旬,(4)7月中~下旬とに分けられる。(1)は華南や沖縄の入梅,(2)は梅雨前線が本州南岸に停滞する時期で,華中や日本の大部分が梅雨になり,(3)は本州上に前線が停滞しむし暑くなり,その移動に伴って集中豪雨が起こりやすくなる時期で,(4)は梅雨前線が北日本に移動して関東以西は梅雨明けとなり,北日本は梅雨の最盛期となる時期である。

梅雨期の天気図

日本付近の梅雨前線は極気団(冷涼なオホーツク海高気圧)と亜熱帯気団(高温多湿な太平洋高気圧またはその一部の小笠原高気圧)との境目である。前線上に低気圧が発生すると,温暖前線,寒冷前線がこれに伴うようになる。そして低気圧は上層の西風により東進するが,それにつれて前線は図1のように移動する。

梅雨時には,この前線が停滞前線として日本の南方に長い間とどまり,その上を低気圧がほぼ1000kmくらいの間隔で次々と東進する。低気圧は図1のD~Eのあたりでいちばん発達する(中心気圧が最低になり渦の強さも最も大きくなる)。そのとき,寒冷前線は温暖前線に追いつき,やがて閉塞(へいそく)前線となり(E),その後,消滅期(F)には低気圧の中心が前線と離れるようになり,気圧は上がり,渦も弱くなり低気圧と前線は消えてゆく。このため前線の北側約300~500km以内では曇雨天が続き,低気圧の通過に伴って雨が強まることが多い。梅雨が明けるときは二つの型がある。一つはよく起こる型であり,亜熱帯高気圧が強まり梅雨前線を北に押し上げ,やがて前線は消えてゆく型である。このときはある日を境に画然と梅雨が明ける。もう一つは年によって起こる型であり,梅雨前線が南下して梅雨が明ける。このときはオホーツク海高気圧が亜熱帯高気圧に変質するのに時間がかかるため,1週間くらい曇天が続く。

梅雨と上層大気

上層大気の研究が進むにつれ,梅雨は次のように説明されるようになった。日本付近の梅雨前線は北太平洋寒帯前線の一部である。北半球の中緯度をめぐる大規模な大気環流(すなわちジェット気流)が三つの波長の型を示すとき,ジェット気流はヒマラヤ山脈があるためチベット高原の西側で二分され,北太平洋で再び合流する。このためオホーツク海上空では,空気が停滞し,温暖なブロッキング高気圧がつくられる。停滞した空気の一部は下降気流として地面に降りてきて,冷たいオホーツク海で冷やされ寒冷なオホーツク海高気圧が発達するようになる(図2)。この高気圧と別にチベット高気圧が対流圏上部で発達するとともに,南西季節風が活発となる。それが東に広がってくると東アジアの梅雨が活発となる。ジェット気流がヒマラヤ山脈の北に移り,この二分されたジェット気流のうちの南のジェット気流が消えると梅雨が明ける。

集中豪雨

梅雨末期(6月末~7月上旬)の集中豪雨は次の理由で起こる。下層の700~800hPa(高度3000m以下)に下層ジェットという強風域が舌状に南西から侵入し(これを湿舌と呼ぶ),これが高温多湿であり,水分を十分日本に運ぶ役目をする。しかるに上層5000m以上では,北西風が冷涼な乾いた空気を運んでくる。そうすると下層に高温多湿,上層に冷涼乾燥な大気という構造になり,鉛直方向に不安定であるため,対流現象が盛んになる。そして対流性の雲が活発に大規模に発達するようになる。これを比較的細かな気象の観測に基づいて調べると,メソスケール(水平方向数百km規模のスケール)内で小さなじょう乱(メソスケールじょう乱)が波動状に次々移動してゆくことがわかる(大気じょう乱)。このじょう乱は活発な対流雲の塊であるが,この通過により各地に大雨が降る。

【梅雨の天気用語】

菜種梅雨(なたねづゆ)

春のナタネ(アブラナ)の花の咲く頃(3月下旬~4月上旬)に一時的に数日間降り続く雨。

卯の花くたし

5月ころの梅雨型の長雨。卯の花(ウツギの花)を腐らすの意味。

走り梅雨

5月25日前後に東日本においてぐずついた梅雨状の気圧配置になり,天気が悪い日が続くこと。

入梅(にゆうばい)

梅雨入りともいう。暦の上では二十四節気の一つで,6月11~12日ころ。気象学的な入梅は,気象庁で天気図と季節感を総合的に見て決めて発表する。ふつう那覇では5月12日,福岡で6月7日,東京で6月11日,仙台で6月11日である。

梅雨の中休み

梅雨のなかばに前線の活動も弱まり,ときに好天気が現れること。

出梅

梅雨明けともいう。梅雨が終わる時。平均日でいって,那覇で6月22日,福岡で7月19日,東京で7月16日,仙台では7月25日である。

戻り梅雨

いったん出梅した後,再び梅雨のようになること。

空梅雨

年により梅雨前線が顕著に現れず,天気続きの梅雨に終わること。北太平洋高気圧または中緯度高圧帯の中に日本がおおわれたときに起こる。

梅雨寒

梅雨のときオホーツク海高気圧から北東の冷湿風(やませ)が東北地方を中心に吹き,太平洋側ではこの寒さで苦しむ。

世界大百科事典から引用

※ジメジメするのも嫌ですが、梅雨が終わってからの暑過ぎる夏も嫌です。

更新日:2024.06.28