台風の語源

「台風」の語源

日本では、古くは野の草を吹いて分けるところから、野分(のわき、のわけ)といい、11世紀初頭の『枕草子』『源氏物語』などにもその表現を見ることが出来る。
ただし、野分とは暴風そのものを指す言葉であり、気象学上の台風とは概念が異なる。

江戸時代には熱帯低気圧を清国にならって颶風(ぐふう)と訳した文献(伊藤慎蔵によってオランダ語から翻訳された日本初の気象学書『颶風新話』)があるが、明治の初めには颱風、タイフーンまたは大風(おおかぜ)などと表していた。

1956年(昭和31年)に指針として「同音の漢字による書きかえ」が示されて以降は多く台風と書かれるようになった(これに対し台湾、香港では現在も「颱風」と呼称する)。由来には諸説があり、主な説としては、以下のものが挙げられる。

ギリシア神話に登場する怪物・テュポン (τυφων, Typhon) に由来する「typhoon」から「颱風」となった。
アラビア語で嵐を意味する「طوفان (tufan)」が東洋に伝わり、「颱風」となった。また、英語では「typhoon」(タイフーン)となった。
中国広東省で、南または東の激しい風のことを外国からの風のとして大風(daai6fung1、ターイフォン)といい、その後、西洋に伝わり、ギリシア神話のテュポンの影響でギリシャ式の”typhoon”というつづりで書かれるようになり、東洋に逆輸入され「颱風」となった。
沖縄(当時は琉球)でつくられた言葉とする説:久米村の気象学者蔡温の造語であるといわれる[要出典]。
英語の「typhoon」は、古くは「touffon」と綴り、中国語の「大風」が由来とする説は不自然とされており、アラビア語起源、ギリシア語起源の二つの説が有力とされる。

ちなみに沖縄のウチナーグチでは「カジフチ(風吹き)」または「テーフー(台風)」と称される。

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更新日:2024.08.30